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■■2005年11月20日発行■■


杉並区・仕組まれていた「つくる会」歴史教科書選択


 教育委員会報告によると、8月12日採択当日までに寄せられた要請書の総数は約4000通、教科書採択後も含めて、杉並区に寄せられた要請書の総数は約6600通に及ぶそうです。この内容分析はまだできていませんが、「つくる会」教科書採択反対の声が圧倒的に多かったということはいうまでもありません。「つくる会」反対側の要請書は全部「教育委員会」への要請になっていますが「つくる会」支持側の要請書は「区長」への要請になっているのが大きな特徴です。
 なお、その後、情報開示によって教員の調査報告でも扶桑社版教科書は最下位の評価であったことが明らかになっています。
 杉並区立中学校24校中3校のみが「つくる会」教科書を肯定的に評価していましたが、実は3校のうち1校の「報告書」が改ざんされていたことが最近判明しました。


8月4日仕組まれていた採択延期


 採択日だった8月4日、区役所前には「つくる会」教科書採択の反対派と賛成派合わせて約500人の傍聴者が詰めかけていました。そのうち直接傍聴可能な人数は20人、でその他は別室でマイクの音のみという対応でした。
 歴史教科書採択にあたっての教育委員会の審議は、「大阪書籍でも帝国書院」どちらでもいいという流れで、この2社の教科書に強い異論はでていませんでした。ところが教育長が「『つくる会』の教科書は『戦争を美化』しているといわれているけど、そうは思わない。」と発言しました。それに対して安本委員が「いや、あの教科書は戦争に向かう教科書です」といい議論が分かれました。
 するとすかさず大蔵委員が、「もう一度教科書をよく読みなおして検討したい」と発言し、その場で社会科のみが不自然な流れの中で採択延期となりました。
 採択延期が仕組まれたものであったことがわかったのは、日本会議のブログに「8月9日から〜12日まで韓国ソウル市ソチョ区に杉並区内の中学生が交流キャンプのために訪韓する予定のため、政治的配慮がされた」という主旨の書き込みからでした。ここで日本会議の議員・「つくる会」そして山田区長が一体となって、杉並区での「つくる会」教科書の採択が画策されていたことが、一挙に明るみになりました。
 4日の教育委員会での「戦争に向かう教科書だ」という安本委員の発言に対して、「つくる会」の執筆者代表である藤岡信勝氏と八木秀次氏の連名で「公開質問状質問状」を郵送。その公開質問状は、「答えなければ法的措置」をとるという脅迫まがいのものでした。それから街中では、「扶桑社支持」の、のぼりを掲げ「新しい歴史教科書をつくる会」の宣伝チラシを配布し、さらに扶桑社版採択に反対している安本教育委員を名指しで、誹謗中傷のビラまでばらまいたのです。同じ内容の質問状は採択が終わって9月になってからも、安本委員の自宅にも送りつけてきたそうです。


「つくる会」に乗っ取られた教育委員会


 再審議の8月12日の当日、杉並区役所前は大変な騒ぎで、約1000人の傍聴希望者と大勢の制服警察官、路上には装甲車や警察車両でいっぱいでした。子どもの教科書を選ぶのに、警察官が出動する国が他にあるのでしょうか。聞いたことがありません。 藤岡信勝氏は、「つくる会」歴史教科書の押し売りをする悪徳セールスマンさながらの活躍ぶりで、傍聴席の前列の中央に陣取り教育委員全員に睨みをきかしていました。「扶桑社には、多くの国民はよく働き、良く戦った。という記述があるが、普通の人々や戦争被害のことも書くべきだ。『戦争に向かう教科書』との前回の発言は、記述の行間から私が感じたことを述べました。」という安本委員の発言に対して、「私も(「つくる会」)公開質問状を読みましたが、それでは公開質問状の答えになっていない」と大蔵委員は詰めたのです。
 まるで傍聴席の藤岡氏との密約がありそれを果たしたかのような驚くべき発言。公正であるべき教育委員の立場をかなぐり捨てて、大蔵委員は「つくる会」の代弁者になったのです。
 8月4日の審議の時は、「率直に言ってどうでもいい」とのらりくらりしていた納富教育長も、4日とはうって変わって、顔面を紅潮させ能弁に「つくる会」教科書を評価し態度を鮮明にしました。これまた誰かとの約束を果すために気合を入れて臨んでいるかのようでした。
 「つくる会」副会長の藤岡信勝氏は、歴史教科書の採択が決まると次の公民の採択は聞かずにそそくさと退席し区庁舎前で万歳三唱をしたそうです。  これで「つくる会」と教育委員が前もって綿密な打ち合わせをしたことが誰の目にも明らかになりました。
 「教育長が交代した時点で、今回の採択結果はもう決まっていた」と話す教育関係者は少なくありません。
 この採択は山田区長の意向であり“官製談合”そのものだという声も上がっています。これからが私たちの正念場です。
東本 久子(杉並の教育を考えるみんなの会)

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